Return-Path: 
Date: Fri, 29 Aug 2014 17:19:05 +0900
From: Toshihide Tsuda 
Reply-To: publichealthnetwork@umin.ac.jp
Subject: [PHNetwork:000171] Re: [PHNetwork:000170] Re: 福島の小児甲状腺がん確定+穿刺細胞診で悪性、103名/30万人に
To: publichealthnetwork@umin.ac.jp (PHNetwork)
Message-Id: 
In-Reply-To: <53FF3E37.4020708@pnet.forum.ne.jp>
References:     <53FAB300.8090708@pnet.forum.ne.jp>    <53FF3E37.4020708@pnet.forum.ne.jp>
X-ML-Name: PHNetwork
X-Mail-Count: 000171
X-MLServer: fml [fml 4.0.3 release (20011202/4.0.3)]; post only (only members can post)
X-ML-Info: If you have a question,  please contact publichealthnetwork-request@umin.ac.jp;  
X-Received: by 10.194.71.136 with SMTP id v8mr11833504wju.38.1409300345177;  Fri, 29 Aug 2014 01:19:05 -0700 (PDT)
X-NAI-Spam-Flag: NO
X-NAI-Spam-Level: *
X-NAI-Spam-Threshold: 15.1
X-NAI-Spam-Score: 1.6
X-NAI-Spam-Version: 2.3.0.9378 : core <5047> : inlines <1220> : streams  <1276582> : uri <1807939>
Mime-Version: 1.0
Content-Type: multipart/alternative; boundary=047d7bfd065874cd550501c04e0d
Precedence: list
Lines: 92
List-Id: publichealthnetwork.umin.ac.jp
List-Software: fml [fml 4.0.3 release (20011202/4.0.3)]
List-Post: 
List-Owner: 
List-Help: 
List-Unsubscribe: 

Content-Type: text/plain; charset=UTF-8
Content-Transfer-Encoding: base64

たじまさま、

WHOの報告書(2013)が、福島における甲状腺がんの若年者での著しい多発を予測しており、加えてその前年のWHO報告書(2012)が、2011年内の甲状腺への被ばく負荷における外部被ばくの割合をそれなりに見積もっているという現状を考えた場合(その後の年は外部被ばくの割合がもっと高くなっています)、「事態の推移を冷静に見守る」ばかりが公衆衛生従事者の役割ではないと思います。すなわち食中毒事件に例えれば、有症者が多発し原因食品が回収されていないのに「事態の推移を冷静に見守る」というばかりの態度では公衆衛生従事者の役割ではなのは明らかでしょう。

チェルノブイリ周辺では、ベラルーシでもウクライナでも、事故の翌年から有意な小児甲状腺がんの発生過剰が観察されており、CDCは甲状腺がんの最短潜伏期間は2.5年、NASは子どもでは1年と言っています。福島ではもう事故から3年半が経っています。

原発に近い地域は多くの住民が避難しています。避難していない地域で原発に最も近い地域と会津地方では、小児甲状腺がんの頻度に2.19倍の違いが見られ10%有意に近いです。相馬地方と比べると統計的に有意です。ましてや日本全国の発生率と比べれば桁違いに高く、これをスクリーニング効果で片付けられるのであれば、それこそ医学史に残る知見です。また、手術された症例を見ると手術適応の患者がほとんどを占めます。

冷静にデータを見るだけでなく、適切な警告のタイミングも考えるのが公衆衛生従事者の役割ではないでしょうか。データを見てまじめに考えようとしている公衆衛生の仲間を週刊誌やスポーツ新聞と比較されるのはいかがなものでしょうか?まあ私はスポーツ新聞も大好きなんですが。取り急ぎご連絡もうしあげます。
津田
Content-Type: text/html; charset=UTF-8
Content-Transfer-Encoding: base64

たじまさま、

 WHOの報告書(2013)が、福島における甲状腺がんの若年者での著しい多発を予測しており、加えてその前年のWHO報告書(2012)が、2011年内の甲状腺への被ばく負荷における外部被ばくの割合をそれなりに見積もっているという現状を考えた場合(その後の年は外部被ばくの割合がもっと高くなっています)、「事態の推移を冷静に見守る」ばかりが公衆衛生従事者の役割ではないと思います。すなわち食中毒事件に例えれば、有症者が多発し原因食品が回収されていないのに「事態の推移を冷静に見守る」というばかりの態度では公衆衛生従事者の役割ではなのは明らかでしょう。

 チェルノブイリ周辺では、ベラルーシでもウクライナでも、事故の翌年から有意な小児甲状腺がんの発生過剰が観察されており、CDCは甲状腺がんの最短潜伏期間は2.5年、NASは子どもでは1年と言っています。福島ではもう事故から3年半が経っています。

 原発に近い地域は多くの住民が避難しています。避難していない地域で原発に最も近い地域と会津地方では、小児甲状腺がんの頻度に2.19倍の違いが見られ10%有意に近いです。相馬地方と比べると統計的に有意です。ましてや日本全国の発生率と比べれば桁違いに高く、これをスクリーニング効果で片付けられるのであれば、それこそ医学史に残る知見です。また、手術された症例を見ると手術適応の患者がほとんどを占めます。

 冷静にデータを見るだけでなく、適切な警告のタイミングも考えるのが公衆衛生従事者の役割ではないでしょうか。データを見てまじめに考えようとしている公衆衛生の仲間を週刊誌やスポーツ新聞と比較されるのはいかがなものでしょうか?まあ私はスポーツ新聞も大好きなんですが。取り急ぎご連絡もうしあげます。
                                                             津田