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Date: Tue, 27 Feb 2024 13:30:27 +0900
From: bipolar-admin@umin.ac.jp
Reply-To: bipolar-admin@umin.ac.jp
Subject: [Bipolar Research:000151] 双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.147
To: bdrnj@umin.ac.jp (BDRNJ)
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双極性障害研究ネットワークニュースレター    Vol.147 2024年2月27日
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- はじめに

寒い冬が続くかと思いきや、早くも春めいて来ましたね。
さて、今回は、まだ正式に論文にはなっていませんが、双極症のゲノムワイド関連研究の
最新データがプレプリント(雑誌掲載前のバージョン)として掲載されていたので、ご紹
介します。
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- 遺伝的多様性が双極性障害の遺伝子探索を促進する

本研究は、双極性障害のメカニズムについてより深い洞察を得るために、世界的な双極性
障害の遺伝学研究コンソーシアムであるPGC(Psychiatric
Genomics Consortium)が、「23andMe」という医療機関を介さず遺伝子検査を直接行う会
社(Googleが出資)と協力して行った、これまでで最大規模のゲノムワイド関連研究(GW
AS)のメタ解析です。この研究では、これまで多く報告されてきたヨーロッパ系のみなら
ず、アジア系、アフリカ系、ラテン系も含めた解析となっています。また、病院で集めら
れたサンプルに加え、地域サンプル(バイオバンクおよび自己申告診断によるもの)が含
められました。

その結果、双極性障害患者158,036名と対照群2,796,499名という大きなサンプルになりま
した。

解析の結果、298の遺伝子座の337の独立したゲノムワイド有意なバリアントが検出されま
した。これまでの知見(64遺伝子座)より4倍以上増加し、特に東アジアのコホートでは
、新たな遺伝子座が検出されました。このうち特に、47の遺伝子は、その発現量に影響を
与えるバリアントが特定されることから、双極性障害の病因に関与していることが示唆さ
れました。

東アジア人サンプルでは、TET2およびCXXC4という新たな関連遺伝子が見いだされました
。(日本人で最初に見いだされたFADS2領域(Vol. 69、2017年1月)も確認されています
。)

また、発現量に影響を与えるバリアントには、BipExのデータベース(Vol. 130、2022年9
月)でまれなバリアントとの関連が見られた遺伝子が多く見られ、頻度の高いバリアント
とまれなバリアントが関連する遺伝子には共通性があることが示唆されました。

地域サンプルにおける双極性障害の遺伝的構造は、双極Ⅰ型よりも双極Ⅱ型に類似してお
り、双極スペクトラムのうち、入院歴がなく、精神病症状のない人たちの部分を反映して
いる可能性が考えられました。

この研究から、ゲノムワイド関連研究では、サンプル数増大により、新たな遺伝子が見つ
かることが確認されると共に、自己申告による双極性障害の患者さんは、病院にかかって
いる患者さんとは遺伝的背景が一部異なる可能性が示唆されました。(順天堂大学・加藤
忠史)

Bipolar Disorder Working Group of the Psychiatric Genomics Consortium,
23andMe Research Team. Genetic diversity enhances gene discovery for
bipolar disorder. medRxiv?https://doi.org/10.1101/2023.10.07.23296687
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- 第9回世界双極性障害デー・フォーラムのお知らせ

3月30日(土)13〜14時半に「第9回世界双極性障害デー・フォーラム:双極性障害と働く
」を考える」がオンラインで行われます。
症状とつきあいながら働くことについての当事者による座談会と、当事者と精神科医(高
江洲義和・琉球大学、加藤忠史・順天堂大学)による質疑応答を行います。
参加無料ですが、事前登録が必要です。ぜひご参加下さい!
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/toppdf/20240205.pdf
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- ゲノム研究参加のお知らせ

私たちは、双極性障害の原因解明、治療法・診断法開発を目指しています。
今回ご紹介した論文のように、とにかく多くの方にご参加いただくことで、より多くの遺
伝学的知見が得られ、双極性障害の原因解明につながります。
双極性障害と関連するゲノム要因をさらに探るべく、AMED(日本医療研究開発機構)の支
援の元、ゲノム研究を行っております。
たくさんの方々のご応募、お待ちしております。

対象者:双極性障害と医師から診断されている患者様ご本人(これまで、この研究にご参
加されたことのない方)

手順1: bipolar@juntendo.ac.jp宛てに、「ゲノム研究参加希望」とメールをお送り下さ
い。当方より、連絡先等をお伺いし、書類や唾液検査キットをご指定のご住所にお送り致
します。
手順2: 電話面接の日程調整を行い、当方より電話にて簡易な面接を実施致します。
手順3: 面接終了後、唾液(2ml)を採取して頂き、提出書類と一緒に当方に郵送して、終了
となります。

基本的に、当方とのやり取りは、メールを使用しております。また、面接も電話ですので
、どこにお住まいの方でも参加可能です。
ご協力いただける方は、bipolar@juntendo.ac.jp(ゲノム研究担当)までご一報下さい。

お手数ですがこのメールからの返信が届くよう、フィルタリングの設定等ご確認いただけ
ますと幸いです。返信が届かない場合、その他の連絡方法をお知らせ下さい。

詳しくは https://www.juntendo-molecular-psychiatry.com/volunteers/ をご覧下さ
い。

順天堂大学医学部精神医学講座 加藤忠史
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- おわりに

季節の変わり目は体調を崩しやすいものです。
どうぞご自愛下さい。(T.K.)
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- このニュースレターは、双極性障害研究ネットワークのメーリングリストに登録してい
ただいた方にお送りしています。
- 配信停止、登録内容の変更は、jimu-bdrnj@umin.ac.jp宛に、タイトルを「配信停止」
あるいは「登録内容変更」としてお送り下さい。
(配信先アドレス変更の場合は、新、旧アドレスをご明記下さい)
- 双極性障害研究ネットワークURL: http://bipolar.umin.jp/
- 過去のニュースレターは以下のサイトで御覧になれます。このURLは公開しないよう、
お願いします。
https://center4.umin.ac.jp/ml/archive/bdrnj
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