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Delivered-To: bdrnj@umin.ac.jp
Date: Tue, 26 Mar 2024 09:08:37 +0900
From: bipolar-admin@umin.ac.jp
Reply-To: bipolar-admin@umin.ac.jp
Subject: [Bipolar Research:000152] 双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.148
To: bdrnj@umin.ac.jp (BDRNJ)
Message-Id: <03260908.ME412642101@umin.ac.jp>
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双極性障害研究ネットワークニュースレター    Vol.148 2024年3月26日
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- はじめに

関東では、桜の開花予想日を過ぎても、まだ開花していません。例年、3月30日の「世界
双極性障害デー」は、都内では桜が満開でしたが、今年はどうなるでしょうか。
さて、今回は、昨年、「福島精神疾患ブレインバンク」から名称を改めたばかりの、「東
北精神疾患ブレインバンク」からの研究報告をご紹介します。
東北精神疾患ブレインバンクは、日本ブレインバンクネット(https://jbbn2.jp/)の一
員として、AMED(日本医療研究開発機構)のサポートを受け、活動しています。
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- 双極性障害を持つ日本人の脳で見つかった、リン脂質情報伝達関連分子の顕著な変化

双極性障害患者さんの脳で何が起こっているのかについて理解は深まってきましたが、ま
だまだ不明なところも多いのが現状です。それが正確にわかれば、その問題を改善するよ
うな薬剤を開発することで、双極性障害の根本的な治療を目指すことができます。また、
双極性障害の治療で用いられているリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安
定薬は、経験からその効果が実証されてきましたが、これらがなぜ双極性障害に有効なの
かはまだ正確にわかっていません。これらの薬剤が双極性障害の患者さんの脳でどのよう
な役割を果たしているかを調べることで、副作用の少ないより効果的な薬剤を生み出すこ
とが可能になるかもしれません。

実は、細胞レベルや動物モデルの研究で、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの
気分安定薬はいずれも、細胞内のリン脂質情報伝達経路を調節するタンパク質に作用する
ことが分かっています。そこで、私たちは、双極性障害の患者さんの脳では細胞のリン脂
質代謝が変化しているのではないかと考え、日本人の双極性障害の患者さんが死後に提供
してくださった貴重な脳組織を用いて、リン脂質情報伝達に関与するタンパク質(PIP5K1
C、PIK4CA、PTEN、Akt1、GSK3β)の発現量を調べました。

双極性障害の患者さんと精神疾患に罹患したことない方の前頭前皮質から採取した脳組織
を用いて調べたところ、双極性障害の患者さんでは、Akt1およびGSK3βの発現量が増加し
、PTENの発現量が低下していることが確認されました。また、リチウム治療を受けていた
患者さんでは、リチウム非服薬の患者さんと精神疾患に罹患したことのない方に比べてAk
t1の発現量が多く、PTENの発現量が少ないことが確認されました。これらの発見から、リ
チウム治療がリン脂質情報伝達経路に与える影響が双極性障害治療における重要な役割を
担っている可能性が示唆されます。

双極性障害の研究のため、亡くなった方の脳を解析することはとても重要ですが、日本で
は双極性障害の患者さんの脳の保管は非常少なく、これまでは欧米人の脳を用いて研究す
るしかありませんでした。しかし、同じ病気でも遺伝的な影響などその病態には人種差が
あるため日本人の脳での研究が望まれていました。この研究は例数が少なく予備的なもの
ではありますが、東北精神疾患ブレインバンク(https://www.fmu-bb.jp/)において、生
前に脳提供することに同意する尊い意思を示された患者さんの脳がやっと集まって、つい
に実現することができました。献脳いただいた方々およびご遺族にあらためまして深く感
謝申し上げます。東北精神疾患ブレインバンク(https://www.fmu-bb.jp/)では亡くなっ
た後に脳を提供していたけるご意思を持たれた方の生前登録を行っております。ご興味を
持たれた方は、事務局(info@fmu-bb.jp)まで資料請求していただければ幸いです。(東
北大学・國井泰人、日野瑞城)

Mizuki Hino, Yasuto Kunii, Risa Shishido, Atsuko Nagaoka, Junya Matsumoto, Hiroy
asu Akatsu, Yoshio Hashizume, Hideki Hayashi, Akiyoshi Kakita, Hiroaki Tomita, H
irooki Yabe
Marked alteration of phosphoinositide signaling-associated molecules in postmort
em prefrontal cortex with bipolar disorder.
Neuropsychopharmacol Rep. Jan 22/2024
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- ゲノム研究のお礼

前回ご紹介したゲノム研究に、20名以上の方にご応募いただきました。
どうもありがとうございます。
引き続き募集を続けております。
詳しくは https://www.juntendo-molecular-psychiatry.com/volunteers/ をご覧下さ
い。

順天堂大学医学部精神医学講座 加藤忠史
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- おわりに

3月、4月は別れと出会いの季節ですね。
どうぞご自愛下さい。(T.K.)
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